週刊イエス

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【比較】衆院予算委・各テレビ局はどう報じたか

 

会計検査院の調査結果が出て、再び国会で議論となっている「森友問題」

 

きのう、きょうの2日間の衆議院予算委員会でも議論となったが、

その議論を、テレビニュースではどのように扱っているのだろうか。比べてみた。

 

この日(11月28日)の予算委は、各局の報道内容が大きく違った。

まずは、NHK、民放4局(日本テレビ、TBS、テレビ朝日、フジテレビ)のお昼のニュースの原稿を、順不同、無記名で並べた。

 

みなさんには、ニュース原稿を読みつつ、

・どのニュースがどのテレビ局のものか

・各局が注目した点、ニュースの核は何か

・どのニュースが28日のお昼の時点で、一番いい原稿と思うか

 

を、考えながら読んでもらいたい。

 

ちなみに、テレビ報道にとって「昼ニュース」とは、その社の夕方、夜のニュースの土台となり、その局の方向性を定める、報道にとって「勝負の時間帯」である。夕方や夜のパッケージモノとは違い、ストレートニュースをいかに充実させるかが、その社の報道の価値を決めるといってもいい。

特に、予算委員会のニュースは、毎回時間がギリギリになる上、議論の中から必要な部分を抜き出す作業が必要で、その社の価値観や実力が如実に出る、比較すると非常に興味深い題材なのである。

 

青字の部分は、ナレーションではなく、実際にそのやり取りを放送した部分である。「ですます」調と、「である」調が混在しているが、あえてその社のネット上の表記のままにする。実際は、「ですます」調で放送される。

 

▼【テレビ局1】

 衆議院予算委員会は28日、2日目を迎えた。森友学園への国有地売却を巡り、立憲民主党の逢坂議員は安倍首相に対し、小学校の名誉校長に就任していた昭恵夫人の影響をただした。

 追及に対して安倍首相は、「議論を聞いていれば妻がかかわりがないことは普通にわかる」と強調した。

 立憲民主党逢坂誠二議員「いわゆる総理の奥様がかかわっていたのではないか。意思決定過程の不透明さ、ここにこの問題の根深さを感ずるわけでありますけれども」

 安倍首相「今までの(籠池理事長らと財務省側の)やりとり聞いておりますと、相当当然そう(意思決定過程の不透明)感じるのは当たり前なんだろうと思うわけですが、そこについてもこれは全く私の妻がかかわりようがないということは議論を聞いていただければ普通にわかることではないかと」

 これに対して逢坂議員は、昭恵夫人の国会招致を求めた。安倍首相は、国会の決定には従うとしつつも「新しい議論はないだろうと思う」と否定的な考えを示した。

 また、逢坂議員は財務省に対して、森友学園への国有地売却について「今でも法にのっとって適切に対処したと言い切れるか」とただした。太田理財局長は「その時点では、最善だと思ってやったことが、振り返ってみると必ずしも適切でないということがある」と釈明した。

 

 

【テレビ局2】

国会では衆議院予算委員会が2日目を迎え、野党側は27日に引き続き、「森友学園」問題で政府側を追及しています。国会記者会館から報告です。

 

最初に質問に立った、立憲民主党の川内議員は国が「森友学園」に対して行った国有地売却をとりあげ、取り引きの特殊性を浮き彫りにしました。

 

 「分割払いで良いよという特約を付してるわけですけども、その特約を付して売却契約をした件数を教えていただきたい」(立憲民主党 川内博史 衆院議員)

 「(平成24年度から28年度の間に)売却を行った契約の件数は1214件。このうち委員御指摘の延納の特約を付して売却した事例、これは本件のみ」(太田充 理財局長)

 「契約金額を非公表にした事例の件数、非公表にした事例の件数、これも契約件数と非公表にした事例の件数を教えていただきたい」(立憲民主党 川内博史 衆院議員)

 「件数は972件でございまして、そのうち非公表にした件数というのは本件のみ」(財務省 太田充 理財局長)

 

 また、立憲民主党の逢坂議員は、森友学園との土地取引が適切になされたとのこれまでの政府の答弁について追及しました。

 

 「これまでの答弁の中で総理自身が森友学園との土地の取引について、ご自身の考えとして『適正だと言ったということはない』ということで、よいかということを確認している」(立憲民主党 逢坂誠二 衆院議員)

 「財務省国土交通省から『適切に処理していた』との答弁があったところであり、私もそのように報告を受けていたところであります」(安倍首相)

 

 28日午後も野党側は「森友学園」や「加計学園」の問題について追及する予定です。

  

 

▼【テレビ局3】

衆議院予算委員会は2日目の28日、27日に続き、野党側が、森友・加計学園問題を中心に、安倍首相を厳しく追及している。
森友・加計学園問題への関与を重ねて否定する安倍首相に対し、野党側は、28日も昭恵夫人など関係者の国会招致を要求している。

立憲民主党・逢坂政調会長代理「なぜこれほどまでに、国会で、この問題は議論されていると思うか」
安倍首相「森友学園については、妻も私も、今回の価格交渉、値引きには一切関わっていない。また、加計学園の問題についても、私からの指示等を受けたものは1人もいないということは、委員会の審議で明らかになっている。それが問題の核心だろうと、本来であれば」

 午前の質疑で、立憲民主党の逢坂政調会長代理は、森友学園をめぐる問題の真相を解明するため、昭恵夫人の国会招致を求めた。
 これに対し、安倍首相は、「私が妻の役割についても全て知り得る立場だ」と述べ、否定的な考えをあらためて示したうえで、昭恵夫人を仮に国会招致しても、「新しい議論はあまりないと思う」と述べた。
 また、野党の質疑の中で、財務省の太田理財局長は、近畿財務局の担当者が森友学園側と土地取引で具体的な価格を含む会話を交わしたとみられる音声データを認め、その時期について、「2016年5月半ばごろのものだ」との認識を示した。

 

 

▼【テレビ局4】

 国会は衆議院予算委員会の2日目が始まりました。28日はすべて野党側の質問で、森友学園の問題を巡り、野党側は安倍政権への追及を強めています。

 トップで質問に立った立憲民主党の2人は、ほぼすべての質問時間を森友学園の問題に費やしました。
 

 立憲民主党逢坂誠二議員:「総理の奥様が関わっていたのではないか、総理の親しい友人が理事長だから、そこが何か不都合なことがあるのでは。いわゆる行政の私物化と言ってよいかもしれないが、その問題がある」
 安倍総理大臣:「私が指示したという証拠があるといって議論して頂かないと、反論のしようがない。全く(指示など)そういうことはしていないとしか言えない」


 そして、安倍昭恵夫人ら関係者の国会招致を求めましたが、実現の見通しは立っていません。野党側は政権を追い詰めるほどの決定打に欠くのも事実です。ある希望の党の幹部は「新しい証拠が出ない限り“モリカケ問題”は年内で限界だ」と手詰まり感をにじませています。さらに、「同じ質問を続けていても逆に批判をくらうだけだ」といった声もあり、質問時間の配分にこだわる野党がどこまで充実した審議ができるのかも問われています。

 

 

▼【テレビ局5】

安倍総理大臣は衆議院予算委員会で、森友学園への国有地売却問題をめぐる会計検査院の検査結果を受け、関係省庁に過去の国会答弁が適切だったかどうか検証させるとしたうえで、国有財産の売却手続きの見直しを進める考えを重ねて示しました。

 

立憲民主党川内博史議員「報告書を細かく聞くとさまざまな問題点が浮かび上がる。(過去の答弁などを)きちんと検証し、適切でないものがあれば真摯(しんし)に対応する考えはあるか」

安倍総理大臣「会計検査院の報告を受けて各省で対応するので、答弁との整合性は各省でしっかり検証してもらいたい」「私としても、国有財産の売却について業務の在り方の見直しが必要と考えており、財務省国土交通省にしっかり対応させる」


また、石井国土交通大臣は、国土交通省大阪航空局が行った売却された国有地のごみの撤去費用の算定について、「一部、慎重な検討が必要だった部分があると思う」と述べました。

一方、財務省の太田理財局長は、森友学園の前の理事長が公表した国有地売却をめぐる音声記録について、「先方が一方的に録音したものだが、去年の5月半ばごろのものだと承知している」と延べ、音声記録の存在を改めて認めました。

そのうえで、太田局長は「これが最善だと思ってやったことが、現時点で振り返ってみると、必ずしも適切でないということがあると思う。改めるべきは改めなければならない」と述べました。

さらに、太田局長は、平成25年度から28年度までに財務省が実施した公共性が高い随意契約972件のうち、契約した金額を非公表としたのは森友学園の事案だけだと説明しました。

希望の党・長島政策調査会長「圧力をかけまくったときに北朝鮮が暴発するのではないかというリスクがあるが、どう考えるか」

安倍総理大臣「暴発するかもしれないとたじろげば彼らの思うつぼになる。常に詳細な分析を行い、国民の生命と暮らしを守る責任を果たすためにどのような戦略をとるか考え抜いていきたい」

 

 

 

・・・いかがだっただろうか。

 

▼答え

実は、この順番は、28日に放送された時間順である。

・テレビ局1→日本テレビ(11時半ごろ)

・テレビ局2→TBS(11時半すぎ)

・テレビ局3→フジテレビ(11時40分ごろ)

・テレビ局4→テレビ朝日(11時50分ごろ)

・テレビ局5→NHK(12時すぎ)

 

 

民放はすべて記者が読む、中継原稿であり、NHKはアナウンサーがスタジオで読む原稿となっている。

 

原稿に正解はない。

 

今回の各局はどう報道したのか。あくまで私見を書く。

 

 

▼「昭恵夫人」に着目した日本テレビとフジテレビ

 日本テレビとフジテレビのニュースは、野党側が「昭恵夫人が関わったのではないか」と問い、安倍総理が「関与していない」と答える部分を使用している。

 「昭恵夫人が関与したのか」という議論は、これまで何度も国会で議論されている。根本の議論だ。なぜ「森友学園」が問題となっているか、基本に戻った着眼点だと思う。

 しかし、ニュースの基本は「新しい話」である。この予算委員会と、前の国会とで、決定的に違う要素は、「会計検査院の調査結果」である。以前とは違う情報のもとに議論が行われているわけである。当然、ニュースも新しい情報から議論され、出てきた新しい答弁に着目すべきである。

 その点から見ると、「昭恵夫人が関与したのではないか」、「いや、していない」というやり取りをニュースにする必要性は、高くない。ましてや、質問される側である総理の、「新しい議論はあまりないと思う」という答弁だけを原稿の中で付け加えるのは、ニュースの公平性から見ても、適切とは言い難い。聞かれたくない政府側が「新しい議論はない」というのは当たり前だし、新しい議論は、会計検査院の調査結果が出た以上、できるはずだからである。

 おそらく、両局は、あまりにこの議論が細かくなりすぎているので、短い時間でキャッチーなニュースを出すために、「昭恵夫人」の部分を取り上げたのだろう。民放のお昼のニュースは、1項目あたり1分~多くても2分程度だ。その中で全てを説明するのは難しく、どうしてもキャッチーな部分を取り上げがちである。両局のニュースは、その意味で、印象としてはわかりやすくまとまっている。弱点は、イメージだけという点だ。「昭恵夫人」の部分だけでは、重要な議論の中身について触れられきれておらず、具体性に乏しい。

 また、フジテレビの後段、「音声データは5月半ばのものだ」という内容は、27日の予算委の議論で既に出ており、特筆する話ではない。一方で、日本テレビの原稿、後段にある理財局長の釈明は、新しい内容であり、遠回しだが財務省側が「適切ではなかった」と認める重要な一言であると言えるだろう。

 

 

▼「もう森友やめようよ」というテレビ朝日

 この原稿だけを読んで、「テレビ朝日だ」と思った人は少ないだろう。局のイメージとは真逆の原稿内容である。テレビ朝日は政権批判の色が強い、と思っている人もいるだろうが、こういった「野党批判」的な原稿も出しているのである。

 一言で言えば、この原稿は「もう森友学園の議論やめませんか?」という内容である。「もう森友はいいよ。いい加減にしてくれ」という、記者(デスクかもしれないが)の思いが透けて見える。一番エッジのきいた原稿である。「決定打に欠く」「手詰まり」との指摘は、記者の日頃の取材の賜物なのだろう。しかし、その指摘の根拠は原稿内には書かれていない。

 今回の予算委員会は、会計検査院の調査結果で、「十分な根拠が確認できない」と指摘されてから、初めての予算委員会だ。このニュースが放送されてた後も、希望の党無所属の会共産党などの質問は続いた。全ての質疑が終わる前に、「手詰まり」と断ずるのは、報道機関として、やや決めつけではないか。「関係者の国会招致の見通しは立っていない」との表現も、実際は与党側が拒否しているため実現しないのであり、ややミスリードだ。

 最後の一文も、やや公平性に欠ける。「質問時間の配分にこだわる野党が~」という表現は、暗に「審議が充実していない」という皮肉が込められている。質問時間にこだわっているのは、むしろ与党側である。最近の慣例では、「与党2」対「野党8」の割合だったのだが、与党側の要求で、「与党5」対「野党9」と、与党の配分が増えたのが事実である。審議を充実させる責任は、与党にも野党にもあるのである。

 上記の2つの局と同様、この原稿も「昭恵夫人」を争点とするような書きぶりだ。「昭恵夫人」は本当に今回の議論の中核だったのか。会計検査院の調査結果で、既に財務省の過失は証明され、議論は終了したと断定するのであれば、「昭恵夫人」は論点になりうる。財務省の過失が確定すれば、その後は、不適切な土地の取引をしたのは、昭恵夫人の口ききがあったからか、それとも財務省が勝手に「そんたく」してズルをしたのかが焦点だからだ。しかし、会計検査院の調査結果では、値引きの「根拠が確認できない」となっている。調査に必要な文書を事務省が全て捨ててしまったからだ。つまり、調査結果により分かったのは、財務省がいい加減な取引をしたかもしれないが、本当のところは財務省がずさんな文書の管理をしたためよく分からない、ということなのである。争点は、事実関係と、公文書管理と、今後の行政のあり方である。「昭恵夫人」の関与については、既に先の国会でかなりの議論がされている。

 また、リード(最初の部分)で、「安倍総理を追及」となっているが、野党側は安倍総理だけではなく、財務省国交省も追及しているので、厳密には、「政府を」である。

 

 

▼分かりやすさを捨て、議論の要点を見せたTBS

 TBSは、他の民放と全く違う視点を示した。この原稿は2部構成になっており、主に立憲民主党の2人の議員による質疑の要点を見せる構成になっている。

 前半は、他が取り上げなかった立民・川内議員の質問の部分だ。川内議員の細かい質問から、国と森友学園の契約は、異例中の異例だったと明かす。「分割払い」や、「契約金額を非公表」にしたのは、1000件程度の例の中で森友学園だけである、という内容だ。以前も同様の議論はあったが、会計検査院の調査結果が出る前、財務省は「適切に処理した」と答弁するのみで、ここまでキッパリ「本件のみ」と答弁したことはなかった。違法性とは別に、森友学園がかなり特殊な契約をしたと分かる。

 後半は、立民・逢坂議員の質問から、政府の従来の答弁について取り上げた。政府は、これまで「適切に処理した」と説明してきた。それが、会計検査院の調査結果で、間違いだったと明らかになった。今はどういう認識なのか。ニュースとして取り上げるのは至極当然である。

    安倍総理は、簡単に言えば、「財務省国交省が適切と言ってたからそう思った」と、まるで子どものような言い訳をしている。都合のいい時は、「行政府の長」というのだが、間違いがあったときは、「そう聞いていたから」と、現場のせいにする。この姿勢を指摘するのは当然であり、民放ニュースの中では、議論の中身を一番盛り込んでいたのはこの原稿だろう。

 弱点は、原稿の大部分が議論のやりとりの音そのままになっており、パッと見ただけでは分かりづらい点だ。特に、後半部分は、やりとりの表現がストレートではないので、理解するのが難しい。「分かりやすく伝える」のが報道の役割の一つなのであれば、その点は民放ニュースの中では一番弱いだろう。本来、尺が許せば、後半は、実際のやり取りの後に、「安倍総理はこのように、財務省国交省から報告を受けた通りに答弁し、自分の口で『適切に処理』したと言ったことはないと説明しました」などの解説文が必要だ。分かりやすさを捨て、議論の要点を見せることを優先した形だ。

 また、この原稿には、日本テレビの後段にあった、財務省側の釈明が入っていない。安倍総理も、上のような言い訳をした後で、「過去の答弁が適切だったか関係省庁に検証させる」「国有財産の売却手続きの見直しをする」などの答弁をしており、それらの主張を入れ込めれば、よりフェアであったであろう。しかし、限られた尺の中に全てを収めるのは難しいのも事実である。

 

 

▼長い尺に必要な要素を詰め込み、まとめたNHK

 一番、議論の内容を的確に要約しているのは、やはりNHKである。民放とNHKでは、やはり尺が段違いだ。民放ニュースがどれも1分半~2分ほどの尺なのに対して、NHKは3分15秒ほどの長さがあった。時間があれば、当然、入る要素も多くなる。なので、民放と単純比較するのは難しい。

 NHKは、まず主語を「安倍総理大臣」として、総理がどのような認識を国会で示したかを報じた。このため、結論が分かりやすくなっている。また、他になかった石井国交省の「一部、慎重な検討が必要だった部分がある」との発言も盛り込んでいる。また、財務省側(太田理財局長)の釈明にも言及し、さらにはTBSの冒頭にあった「森友の事案だけ」という点も言及している。

 おまけに、後段では希望の党の長島議員の質問部分も入れ込んでいる。政党のバランスを考えると適切だが、中身は安保関連で、唐突感があるし、それほど新しいもでもない。この部分が必然だったかと言われると、必ずしもそうでなかったように思う。

 このNHKのニュースは、非常に広い範囲をカバーしている。その半面、事象のパッチワークになりがちで、何が重要なのかという点が、分かりづらい部分も否定できない。

 

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・・・いかがだっただろうか。

 

たった数時間の質疑の内容、たった数分間のニュースでも、放送局によって大きく違う切り口で報道している。

どの原稿も、実際の議論に基いて書かれており、間違いではない。正解もない。長所も短所もある。

 

ニュースの受け取り方もまた、様々であり、正解などないのだ。

 

同じニュースを、いろんな局で比べてみるのも、面白いだろう。