「就活イエス」は、
イエスを信じる人たちの、
「就活」「働き方」に迫っていくインタビュー記事です。
シリーズ第13弾は、黒木亮太(ボブ)さん!
【Profile】
名前:黒木亮太(Ryota Kuroki)またの名をボブ(Bob)
生まれ:1991年
最終学歴:岸和田市立岸城中学校卒業
職業:建設作業員
ボブこと黒木亮太さん、今日はよろしく。
よろしく。
ボブっていうニックネームはどこから来てるの?
ボブ・マーリーが好きやから(笑)
単純な理由(笑)ボブは今、どんな仕事をしているの?
今は、建築関係。建物を建てる時に空調とかの配管があるでしょ。あれを通す「スリーブ工事」っていうのがあって、それを作る仕事。建築スリーブ工事作業員って言えばいいかな。
へぇ、たとえば天井に通ってる配管とか?
そうそう。配管は全部やってる。梁と梁の間に穴を作って、その間に配管を通したり。鉄筋の幅を決めて、寸法をはかって、型にコンクリート流してって・・・
説明聞くだけだと難しいね。
うん、むっちゃムズいな(笑)
ずっと同じ仕事?
いや、前は鉄筋関係の仕事をしてたよ。基本的にはずっと建築関係の仕事をやってたかな。
いつ頃から仕事をしてたの?
10代の前半ぐらいかな。
えっ、10代は分かるけど、10代の前半?!
そう。中学の頃からバイトでやってた。最初は知り合いとか親父の仕事を手伝ったりとか。それも建築。鳶職人とか、足場を作る関係の仕事。
へぇ、中学の頃からガッツリ仕事してたんだ・・・
そう。それで金貯めてバイク買ったりとかね(笑)
なんか掘り下げたらいろいろ出てきそうですが、順番に話を聞かせてください・・・。
▼泥沼の人生から抜け出したくて
↑大阪の友人と
どういうキッカケでイエスを信じたの?
イエスを信じたのは、元々は名古屋に行った時に路上ライブをやっていて。それがクリスチャンの人たちやったんよね。何してるんかなと思って話しかけたら、クリスチャンの人やって。それがキッカケで教会に行くようになった。ただ、それでイエスに出会ったというより、ノリというか、なんちゃってで信じてた。
なんちゃってとは?
「イエス信じる?」って聞かれて、「うん、信じるー」って(笑)
軽っ!(笑)
ははは(笑)一応、「イエスは俺たちの罪のために死んだ」とか言われたけど、当時は全然意味が分からんかった(笑)でも、「洗礼あるけど受ける?」みたいに言われて「受ける受ける!」って。それで「キャンプあるけど行く?」みたに言われて「行く行く!」みたいな、そんな流れ。
なんでも受け入れるんかい! 「宗教怖いな」とか思わなかった?
それはなかったかな。インターナショナルで、すごく明るい教会やって。逆にキリスト教とか教会のイメージが変わったかな。なんか教会の子たちがすごく明るくて、なんでそんなにキラキラしてるんかなっていうのが気になってた。
元々、出身は大阪だよね?
そう、岸和田ってとこ。
なぜ名古屋に行ったの?
元々、俺はめっちゃ悪さをしてて。悪さを繰り返して、少年院とか刑務所に入ったりしてたんだよね。
えっ、マジで。大阪の刑務所?
そう。最初は少年院やったんけど、俺のやってたことが結構ヤバくて刑務所に入ってた。悪さして、入って、出て、それでまた同じ悪さを繰り返してってやってた。
悪さって例えば・・・
●●(ピー)とか、▲▲(ピー)とか・・・
ひぇ~~~(驚)言えないやつ!!
周りのツレとかも同じワルばっかりで、もう泥沼。抜け出せなかった。ある時、「このまま人生同じことばっかり繰り返していくんかな」と不安になった。それで、全ての悪いツレとか、悪いことから縁を切りたいと思って、それで新しい場所に行って人生やり直したいと思ったんだよね。
それで名古屋に出たと。
そういうこと。人間関係をとにかく変えたかった。
それは何歳のとき?
19歳かな。あとちょっとでハタチになる頃。
そこでストリートライブをやっているクリスチャンの人たちと出会ったんだ。
そうそう。彼らと出会って、なんでクリスチャンの人はこんなに笑顔なんだろうって不思議だった。「なんでお前らそんなに笑顔なん?って聞いたら、『俺たちクリスチャンだからだよ』って」それで教会に行ってみようかなと思ったんだよね。
人生を変えるために別の場所に飛び込んで、本当に人生が変わっちゃったんだね。
▼神様からは逃げられない
↑名古屋時代(真ん中がボブ)
名古屋から、いつ東京に来たの?
東京に来たのは3年前やけど、その前に一度大阪に帰ろうとしたことがあって。
え、それはまたなんで。
複雑な事情でいろいろあってんけど、罪を繰り返してしまう自分に葛藤してたんよね。怒りがコントロールできなかったり。当時は聖書をよく読んでなくて、いわゆる「善い行い」をしなきゃいけないと思っていた。酒やタバコとかやっちゃダメだと思って、でもやめられなくて・・・葛藤し続けて、ある時「もうクリスチャンやめよう」って思った。
ええ、そうなの?!
そう。もうやめようと。神様に「神様、俺大阪帰るわ」って。そんで、また悪いツレと再会して、夜の街で遊ぼうと思って大阪に帰ったんよ。
神様信じないことにしたのに神様に喋ってるのオモロイ(笑)
ははは(笑)そんで、大阪に戻って、「もうクリスチャンなんて関係ない」と思ってて。大阪のミナミに遊びに行こうとしたんだよね。そしたら、駅を出て歩いているとすぐに、でっかい十字架が立ちはだかってて。大阪弟子教会ってとこやってんけど。「あ、教会あるんかなぁ」って一瞬思ったけど、「いや、もうクリスチャンは俺に関係ない、関係ない」と振り切った。
それで昔の仲間と遊ぼうと。
そう、昔つるんでた仲間とちょっと遊んでやろうと思ったんだけどね。そしたら、まるっきり店が閉まっていたり、電話しても誰も出なかったり、とにかくやろうとしていたことが全部できなかった。
すごい、全部道が閉ざされたんだ。
そう、もう何もできなかった。不思議。行く場所もないし、親ともずいぶん連絡とってなくて、家には帰れないし。居場所もないし、かといって漫画喫茶とかネットカフェ行く金もないし、どうしようかなと思ってた。
困ったね。
そのとき、ふと知り合いを思い出して。同じ名前のリョウタ君っていうんやけど、フェイスブックでつながってて。彼はクリスチャンやったけど、この際もういういやと思って、ワラをも掴む思いで連絡してみた。
そしたら・・・
そしたら、「今から会える?」みたいになって。大阪のひょうたん山ってところにある「アドラム・キリスト教会」ってところで会おうってなった。「もしかしたら教会に泊まれるよ」って。
結局、行き着いた先は教会。
そうだね(笑)居場所なかったし、もう関係ないやと思ってた。それで、リョウタ君に身の上話をしたら、「ウチの牧師も有名な元暴走族だよ」って。「人刺し●●(名前)」っていうんやけどって。
「人刺し●●(名前)」・・・パワーワードすぎるだろ(笑)
有名らしいんだけど、世代も違ったし俺は知らんかった。そういう牧師もおるんやなぁと思って。そんな話をした後で、リョウタ君が「賛美しようよ」って言い始めて。すげー嫌やった。でも嫌とは言えずに、なんとなく歌う流れになった。
クリスチャンやめようと思ったのに、賛美するハメに・・・(笑)
そう(笑)そんで、歌ってたりしたら、いきなりでっかい男がドアをガッシャーンって開けて勢いよく入ってきて。「おう! やってるか!!」みたいな。それが「人刺し」の牧師さんやった。
マジか。迫力ありそう。
そしたら、俺を見るなり、「お! お前、ナニワ少年院におった黒木やないか!」ってなったんよ。
少年院にいたボブを知ってた?!
そう。その牧師さんは、元暴走族ってことで、少年院に通って福音を伝える働きをしていたんだよね。そこでイエスの話をしているときに、俺を見かけて、覚えててくれたんよ。
ボブは覚えてなかった?
俺は全く覚えてなかった。向こうは覚えていてくれたみたいで、その後もいろいろ話をしてた。その日は土曜日だったんやけど、牧師さんが「明日礼拝出ていきな~」って言ってくれて、「わかりましたー」ってなって。それで、次の日、日曜礼拝に後ろの席に座って参加した。
クリスチャンやめるために大阪に行ったのに、礼拝に参加することになっちゃったね。
しかも、その時の牧師さんのメッセージが「不信仰な私をゆるしてください」っていうタイトルで。
ドンピシャ(笑)
何なに?! って思いながら聞いてたら、まさに自分の状況について語られてるみたいで、気がついたら涙ボロボロになってた。神様に降参した。そのとき、神様からは逃げられへんなと思ったんよね。
逃げた先で神様に捉えられてしまったんだね。
▼何もあてなく東京に
そういえば、なんで名古屋から東京に来たの?
名古屋で働いていたとき、もうクリスチャンになってたんやけど、まだまだいろんな葛藤があって。ある時、給料日に給料全部使い果たしてしまって。
え?! は?!
もう最後の方とか何にお金使ったかわからないぐらい(笑)
それはめちゃくちゃだ・・・
それで、ムシャクシャしているときに、仕事でトラブルがまたあって。もうその会社にはいられなくなってしまった。その時持ってたのは原付バイクだけ。仕方がないから原付で名古屋から東京まで何も考えずに運転してきたんだよね。
すげぇ、何のあてもなく・・・?
あてなく(笑)そこで最初、行こうと思っていた、東京のとある教会に行こうとしたんだけどね、入り口の前の階段のところで「なんか違う」っていう感覚に陥ったんだよね。よくわからないけど。だからその教会は行くのをやめた。
それで今通っている教会に。
その前もいろんなとこ行ってみたりはしたんだけど、なかなかピンとこなくて。それで、たまたま今通ってる教会が検索で出てきたから行ってみたんだよね。そこで「誰か声かけてくれないかな・・・」って密かに期待してた。
そしたら・・・
そしたら、とある男の子が話しかけてくれた。身の上話をしたら、「じゃあ俺んち泊まる?」って言ってくれて。それが土曜日。次の日の日曜日も同じ教会に行った。そしたら、今やってるディサイプルシップ(※教会の社会人メンバー同士で、テキストを使って聖書やクリスチャンの生き方について学ぶグループ)のリーダーのフィリピンの人に会ったんだよね。そこでも身の上話をして、そしたらフィリピン人のリーダーが中国人のおばさんを紹介してくれて、そのおばさんが今住んでる家を紹介してくれたんよ。それで、東京きて3日後ぐらいに住む場所が見つかった。
スゴイ。最初に行こうと思った教会に行ってたら無かった出会いだよね。
そう。仕事も池袋のそばですぐに見つかって、その時は神様が東京に居場所を用意してくれてるんだなと思ったんだよね。それで東京に住む決心をした。
神様って、時に試練を与えるけど、時に驚くようなつながりも与えてくれるんだよね。不思議。
▼学びの中で成長して
↑東京の教会のディサイプルシップ
教会に行き始めて、どのぐらいで神様を本気で信じるようになったの?
最初はインターナショナルの教会で、英語が分からなかったから、雰囲気しかわからなかった。途中で、いろいろあってインターナショナルの教会から日本人の教会に行くようになったんやけど、賛美歌・ワーシップが完全に日本語の歌だった。それまでは英語でわけわからんかったけど、その日本語の歌詞を見た時に、その賛美の歌を通して、神様の存在が理解できた。賛美の歌詞で、神様ほんまにおるんやって分かった。
なるほど、歌詞を初めて自分の言語で理解できたんだね。
だけど、その教会もいわゆる「学び」がなかったから、聖書のことはほとんど分からないままやったな。聖書を学んで、神様のこともっと知ってきたのは本当に最近。東京の教会に来て、学びとかスモールグループとか、ディサイプルシップを通して、だんだんと神様について知っていったって感じかな。
なるほど。確かに教えてくれる人がいないと分からないよね。
一番大きかったのは、本当にイエスが自分の罪のために死んでくれたっていうことが理解できたことかな。最初は「罪」っていうのがピンとこなくて。だけど、最近「自分の罪」が明確に示されて、その時にようやく福音が理解できた気がするんだよね。
「自分の罪」とは具体的にはどういうもの?
一番は神様を見て生きていなかったこと。それを認識して、初めて「罪」というものが理解できた。そしたら、今まで教会とかで学んできた知識が勝ってにポポポンとつながって、理解の幅が広がったんよね。
その感覚、すごくよく分かる。何か一つ理解すると、それまで積み重ねてきたものが一気につながる感覚あるよね。
職場でイエスを伝えるときも、何か特別な準備をしてるとか、自分の頭で考えてるわけじゃないんだけど、神様に祈ると勝ってに言葉がスラスラ出てくるんよね。聖霊が俺の代わりに語っているというか。自分で話しながら自分自身で「あっ、これってそうなんや」って後で気づくときもある(笑)
教会のスモールグループやディサイプルシップという、個人的な関係があったからこそ、深い学びができたんだね。
そうやな。今までの経験も全部神様がつなげてくれたって感じかな。
▼職場の人にイエスを伝えたい
↑職場の後輩と
今の職場は気に入ってる?
めちゃめちゃ気に入ってる。俺はずっと建築の仕事をしてきたんやけど、今の職場は建築っぽくないというか。アルバイトもいろんな子が来る。IT関連やってますって人とか、イベント関係のバイトみたいなノリで来てる子が多い。日払いで1日だけって人もいるし。だから自分が今まで付き合ってきていないタイプの人と関わって、その人たちから話を聞けるっていうのはすごく刺激的だった。
今、職場の人にイエスを伝えていると聞いたけど、その思いはどこから来たの?
元々イエスのことを伝えたいという思いはあったから、最初は自分で「イエスを伝える4つのポイント」っていうのを勝手に決めてそれでやってたな(笑)
マジ? 4つのポイントっていうのは?
「クリスチャンになるとは?」「福音とは?」「聖書って何?」「神様って何?」みたいな4ポイント。
すごく基本的でわかりやすいかも。いきなり「罪」とか言うよりいいかもね。
でも最初はやっぱり恥ずかしくてできなかった。けど、ふとしたキッカケで職場の人にイエスのことを話したことがあって。意外とみんな聞いてくれたんよね。「へー、そうなんだ」とか「クリスチャンのイメージ変わった」みたいな反応をされて。結構みんな楽しそうに聞いてくれることが分かった。それで、「ああ、もっと伝えてみようかな」って思ったって感じかな。
伝えたいという思いは最初からあったんだね。
そうやな。工夫して伝えたら反応が良かった。それでもっと職場の人にイエスを伝えようと思った。普通に最初からクリスチャンっていうのは隠さんでもええかなって思ってたかから「クリスチャンなんすよ」とは言ってた。大体みんな「敬虔なクリスチャンなんだ?!」とかいう反応するけど、自分としては「敬虔ってなんやねん!」って思ってる。「敬虔」じゃなくて最早「イエス信じてる=ライフスタイル」やから。
ライフスタイルがイエス! 素晴らしいねその考え! 伝える上でのポイントは?
なんか、最初はいきなり福音を伝えてたんやけど、そうすると向こうも「え?!」みたいな感じになる。やっぱり人間関係を作った上で、「俺クリスチャンなんだけど」っていって話すのが一番自然かな。
実際伝えてみて反応はどう?
最初はすごいビックリされるよね。イメージとのギャップがあるみたい。
え、ボブ、クリスチャンなの? みたいな(笑)
そうそう(笑)だけど話してると、すごく聞いてくれることが分かった。その中で、この間1人イエスを信じたよ。
おーすごい。
今日(※インタビュー当日)も一緒に賛美してた。教会にも来て、一緒にディサイプルシップの会も出てきたよ。
そうやってイエスを信じる仲間ができていくのは、素晴らしいね。
最後に、ボブのこれからのビジョンを教えてください。
やっぱり、職場でもっとイエスを伝えていくってことかな。ただ、いろんな人がいるので、自分の考えを押し付けるというよりも、その人たちの仕事や、やりたいことを応援して、一緒に寄り添うっていうことをやっていきたい。仕事の中でも、イエスって素晴らしいんでよってことをもっと行動で示したいとも思う。一言で言えば「イエスの弟子づくり」かな。
「イエスの弟子づくり」最高だね! シメにいつも握っている聖書の言葉を教えて下さい。
やっぱこれかな。
あなたがたの救われたのは、実に、恵みにより、信仰によるのである。それは、あなたがた自身から出たものではなく、神の賜物である。
(エペソ人への手紙 2:8 口語訳)
恵みによって救われたことを体感したボブらしい言葉、ありがとう。これからも応援してます!
(おわり)
◆このブログの筆者の小林拓馬は、現在、完全オンラインのプロテスタント教会「クラウドチャーチ」の牧仕として活動しています。
◆小林は、Podcast&YouTube「まったり聖書ラボ」でも発信中!
※この記事の聖書の言葉は、特に断りがない限り、<聖書 新改訳2017 ©2017 新日本聖書刊行会>から引用しています。